2017年10月22日日曜日

kawasaki Z1  20年ぶり?のオーバーホール


 当店がまだ大和市に有った頃からのお客さんである H君。 20年?ぶりにkawasaki Z1のエンジンをオーバーホールすることになりました。 




 先ずはオイルを抜いてオイルパンを外します。 このエンジンは当時H君が知り合いから買ってきたエンジンで、バンス&ハインズ製と言われていたものです。 カムカバーは開けたことが有ったのですが詳細は不明。 スピードは出るのですが、ガラガラとすごい音がしていました。


 とは言え、何か凄い物がオイルパンに落ちている訳でもなく


 ヘッドも見た目は普通です。ですが。テンショナーやローラーは破壊されていました。H君の走行距離で壊れるわけないので、エンジン制作時に交換されていなかったのでしょう。


 バルブはK&Wのステンレス製が入っていて、カムはウエブの#110、スプリングもK&Wの模様。 バルブステムは痩せてはいませんが、当たり面が沈み気味なので交換です。
突き出しを測ってシートカット分を考えると、少し短いバルブが必要になります。


 燃焼室は乾いた状態です。バルブシートリングの当たり幅は少し広がっていますが、ANPCOのバルブガイド内径も広がっていません。


 ケースを割るとファリコン製クランク登場。ピカピカだと何故か?うれしくなるのは私だけ? 


 残念ながら、テーパーが荒れています。


 クラッチハブはリビルドした物が入っています。 ダンパースプリングにガタも無く、問題なく使えます。 ミッションのチェックとベアリング交換を行います。
 エンジン全体の部品組み合わせからいって、アメリカ製で手慣れた人が組んでいるという感じです。 


 ケースを洗うと、くたびれ感のある合わせ面が出てきました。


 ヘッド、ピストンをきれいにしました。 これからバルブシートカットです。


 ピストントップはカーボンが噛んだのか?傷が沢山あります。 エキゾースト側 側面が少し溶け気味なのとシリンダーの擦り傷が深いので、1mm大きくします。


 残念なのはダウエルピンがすべて再使用されていたことです。 穴が傷ついてしまっています。 私は全て変えてしまうのでゴミ箱行き!



 ガラガラと音をたてていた原因。シリンダーの前側に取り付けるカムチェーンガイドが割れていました。 



 シリンダー下面のガイドをひっかける部分が広がって変形しています。このまま無視する訳にもいかないので


 溶接で盛って


 成型します。 


 再度洗浄してから、塗装に出しました。 


 エンジンオーバーホールと足回りを見直そうという事だったのですが、急遽フレームを黒くしたい(今迄赤でした)という事で、方向転換。 全バラ組みなおしとなったので、予算的に辛くなってきました。 


 足回りの見直しは出来なくなったのですが、すり減ったディスクローターは無視できないので、私のGSX-Rから外してあった物に交換。(あとで困りそうだな~)


 荒れていたクランクのテーパー部分を研磨しました。 半月キーが入っているからと言って、そのまま組むのは嫌なので、当店では荒れている物は研磨するようにしています。
ここを機械加工しないで ペーパーやすりで磨いたりすると後で後悔することになります!  後は綺麗になったエンジンを組み立てます。


 車体に使う ケースを製作しました。



 作ったケースはヒューズやリレーを取り付けるための物。 電装品はメインハーネス、レギュレーター、スイッチ等全てを交換。 これで、安心して乗ることが出来ます。
 ちなみにバッテリーを移動させてあるので、元のバッテリーケースには工具の入ったバッグが入っています。


 完成です! 何も変わっていないように見えますが(笑)フレームが黒くなって、エンジンが綺麗に! そしてガラガラ音とは無縁となりました!
 未だ直したい所は有りますが、手が入れにくいところは全て直したので、残りはすぐ外せる所ばかり! 火急の所は無いので、後はちょっとづつ直していきますか?!H君!


 横浜で カワサキ Zシリーズ、HDスポーツスター、ビューエル(パイプフレーム)をメインに 修理、メンテナンス、レストア、モディファイ、チューニング、オリジナル部品製作販売を行っております。新店舗では車両販売も行っておりますので、欲しい車両がある方は是非お問合せ下さい。

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